大逆転の羽生、無心の宇野。日本男子フィギュアが世界でワンツー (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao

 その高得点が、後に続く選手たちにプレッシャーを与えた。

 第2滑走のネイサン・チェン(アメリカ)は、SPや公式練習で調子に乗り切れていなかった不安をそのまま出す滑りとなった。これまでは完璧に決めていた最初の4回転ルッツで転倒し、後半の4回転サルコウも失敗するなど、合計を290.72点までにしか伸ばせず6位に終わる。

 続くSP3位のボーヤン・ジン(中国)は、ルッツを含む3種類4回の4回転ジャンプをすべて決めるなどノーミスの演技をし、得点はSPに続く自己最高の204.94点を獲得したが、合計を自己最高の303.58点に伸ばして3位に食い込むのが精一杯。SPでは完璧な演技で自己最高の102.13点を獲得していたパトリック・チャン(カナダ)も、今季からフリーのプログラムに入れた4回転サルコウはきれいに決めたが、その後のトリプルアクセルと後半の4回転トーループで着氷を乱したミスが響き、295.16点の5位にとどまった。

 そして、SPで羽生に10.66点差をつける自己最高の109.05点を出し、大会3連覇へまい進していた最終滑走者のハビエル・フェルナンデス(スペイン)は、4回転サルコウからの連続ジャンプのセカンドで着氷をミスしてから少しリズムを乱した。後半に4回転サルコウなど複数のミスが出て192.14点にとどまり、合計もジンに及ばない301.19点で表彰台を逃すことになった。

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