笑顔の宇野、失意の羽生。逆転優勝にはフリーで200点台が必須に (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 そのサルコウも成功するかと思われた瞬間、羽生は着氷でバランスを崩して左膝を氷についてしまう。そのまま立ち上がって2回転トーループをつけたが、それは連続ジャンプと認められず、得点の対象になった基礎点は4回転サルコウの分だけ。GOE(出来栄え点)でも4点減点される結果となってしまった。

 その後はキッチリと加点をもらう完璧な滑りをしたが、得点は98.39点。その時点でトップに立っていたボーヤン・ジンを0.25点下回り、全員が滑り終わった時点で5位となった。

「跳んだ瞬間の感じはよかったけれど、降りた瞬間に『アレッ?』と思いました。映像を見たら、軸がちょっと後ろに倒れていたかなと思うけど......。1番滑走は得意だと思っているし、それにどう対応するかも考えて練習ができていた。

 6分間練習もそんなに悪くなかったと思いますが、結局ミスをしてしまったことには変わりないので。今シーズンはずっと『悔しい』とばかり言ってますが、その経験を活かせずに終わってしまい、自分に不甲斐ない気持ちでいっぱいです」

 自信を持って跳んだ4回転サルコウでの想定外のミス。いつもは前向きな表情で話す羽生だが、この日ばかりは失意が前面に出ている雰囲気があった。

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