平昌五輪3枠が風前の灯。苦境の日本女子勢はフリーで巻き返せるか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

「ヘルシンキに入ってからの練習は多少不安定でしたが、それまでの練習は毎日集中してできていましたし、ショートもミスのない演技ができていたので、四大陸より不安はなかったです。滑り出した時も思ったより緊張しなかったのは、日本で納得がいく練習ができていたからですかね」

 公式練習で、樋口が3回転ルッツ+3回転ループやトリプルアクセルに挑んでいたのも、「せっかくきれいな氷で練習ができているのだから、トリプルアクセルの練習もしてみようと思った」という気持ちの余裕があったからだ。それがSPの好演技につながり、順位は9位ながら、上位の背中が見える納得の65・87点を出すことができた。

 一方で、日本勢の2番手で登場した三原舞依にとっては苦しい戦いになった。四大陸選手権では200.85点を出して初出場・初優勝を果たしたが、宮原の世界選手権欠場が決まったことで、一躍日本の「エース」と見られる立場に。自分では考えないようにはしていても、「この大会の、チームとしての大きな目標は来年の平昌五輪の枠取りだと思うので、それを意識してしまったところもあると思う」と、普段とは違うプレッシャーを背負ってしまっていた。

悔しさの残るSPを終え、顔を覆う三原舞依悔しさの残るSPを終え、顔を覆う三原舞依「最初から、今シーズンになかった緊張を感じていました」という三原は、滑り出しも動きが硬かった。それでも、「ジャンプはほとんど失敗しないという自信があるので、最初は緊張していても跳べるという自信があった」と振り返ったように、冒頭の3回転ルッツ+3回転トーループを決め、波に乗ったように見えた。

 その後のふたつのスピンもレベル4にし、後半に入ってからのダブルアクセルもきれいに決め、ノーミスの演技で終える期待が膨らんだ。だが、「自信がある」という理由で演技の最後に入れていた3回転フリップが、「跳び急いでしまったのかもしれない」と2回転に。さらに転倒してしまったことでフリップが0点になったうえ、減点1をつけてしまう結果になり、得点は59.59点で15位に沈んだ。充実していた今シーズンで初めて、悔しさだけが残る滑りになってしまった。

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