浅田真央の師・佐藤信夫コーチに学ぶスピン。「誰でもできて、難しい」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 スケート靴の原型は、靴の下に金属の刃だけをひもで結んでくっつけたものでした。そんな簡素な道具から、現在のように靴と刃が一体化したスケート靴ができたのは1850年のことです。アメリカ人のE・W・ブシュネルという人が靴底から下が鋼鉄製のスケート靴を作り、世界で初めて売り出しました。ブレードと靴とをきちんと留めて一体化したスケート靴が誕生したことで、様々な技ができるようになり、フィギュアスケートはその後、爆発的な人気が出てきたと言われています。

 ただ、そんなスケート靴が開発されても、現在のスケート靴とは道具の構造がやはり違っていました。だから当時のスケーターは、今からは考えられないような苦労をしたようです。

 例えは昔のブレードには、ギザギザのトゥピックが今よりも前方にありました。そのため、いったんバランスを崩したらツルンと抜けて前のめりになり、氷に顔をまともにぶつけることになります。スピンひとつをとっても、命がけの技だったと思います。

 今のスケート靴では、転倒する前に氷がトゥピックに引っかかるようになっています。だからスピンを習い始めて、最初にバックイン(バックワード・インサイドエッジ)で回るときでも、前に行き過ぎたらトゥピックのギザギザに引っかかるおかげで転ばないようになっています。

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