羽生結弦、チェンに惜敗も大きな収穫。「4回転5本が視野に入った」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 フィギュアスケート四大陸選手権、最終日の男子フリーで初優勝を狙う羽生結弦が見せたのは、執念の演技だった。

 ショートプログラム(SP)3位の羽生と、SP1位のネイサン・チェン(アメリカ)の点差は6・08点。SP2位の宇野昌磨との差は3・24点。

 羽生のひとり前に滑った宇野は、公式練習でなかなか成功していなかった4回転ループをきれいに決め、続く4回転フリップとともにGOE(出来ばえ点)加点をもらう滑り出し。しかし、後半にミスが出てトリプルアクセルは2回とも転倒。後半の4回転トーループは2回とも着氷したものの、フリーは187・77点で合計は288・05点。ハイレベルの優勝争いから脱落する結果となった。

四大陸選手権で2位にとどまり初優勝を逃した羽生結弦四大陸選手権で2位にとどまり初優勝を逃した羽生結弦 続いて登場した羽生は、気迫のこもった滑りでフリーの演技をスタートさせた。最初の4回転ループは6分間練習と同様にキッチリと決め、4回転サルコウも難なく降りると、ステップからは流れるような演技でフリップまでつなぐ完璧な滑り。

 だが、後半の4回転サルコウからの連続ジャンプは2回転になり、さらにその直後に1回転ループを入れてしまった。本人は「失敗したあとにハーフループを入れて4回転サルコウをやろうと思ったが、ちょっと非現実的だなというためらいが一瞬あったので戻してしまった」と説明する。ここで1回転ループを付けてしまったことで、3回しかできないコンビネーションジャンプをひとつやったことになってしまった。

 羽生が執念を見せたのはそこからだった。次の4回転トーループを決めると、トリプルアクセルに3回転トーループをつけ、さらにトリプルアクセルからの3連続ジャンプを4回転トーループ+2回転トーループに変更。そして、最後の3回転ルッツをトリプルアクセルにして見事なリカバリーを見せた。

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