羽生不在の全日本フィギュア。無良は先輩の意地を宇野に見せられるか? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 だが12月23日のショートプログラム(SP)では、最初の4回転フリップの着氷がステップアウト。次の4回転トーループは昼の公式練習では、なかなかきれいに決まらなくて何度も挑戦していたジャンプだ。その不安定さがそのまま出てしまい、転倒という結果になってしまった。

「今日はコンディションも悪くなかったし、気持ちの状態も悪くなかったです。4回転フリップに3回転トーループをつけられなかったことで動揺したというより、次にトーループをつけなければいけないという気持ちになってしまったのが、4回転トーループへの集中を少し邪魔したのかなと感じました。4回転トーループは練習と同じようなミスがそのまま試合で出てしまったなという感じです。気持ちのコントロールは悪くない方向に向いていたと思うし、体も動いていたのでノーミスでもおかしくない感じでしたが、4回転フリップは、単発では跳べたかもしれないですが、フリップ+トーになるとまだ自分のものになっていなかったのかなと思います」

 こう話す宇野の動きには、力みや硬さのようなものも見えた。それについては「自分はいつも力むところはありますね......。それでジャンプを回り過ぎることもありますし、その限度をうまく調整できないところもあります。でも力を抜いて演技をして『もっと力を入れればよかった』と思うのが本当に嫌なので、いつも100%の力を出します。それが間違ってはいないと思います」と話す。

 フリップ+トーをやろうと思ったのも、これまで4回転フリップを跳んでもGOE加点が付かなかったのを見て、「それだったらフリップ+トーを跳びにいかなければいけない」という考えに至ったからだという。攻めの気持ちだった。

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