「もう痛くない」浅田真央。奇跡の復活に向けて大技は飛び出すか? (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha  能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 シーズン前半は封印していたトリプルアクセルを22日の練習から跳んでみせるなど、調子のバロメーターである代名詞の大技を再び跳ぶことは、浅田のモチベーションを高める作用をもたらすに違いない。23日朝の練習では、入念なウォーミングアップをしていた浅田の気迫のこもった滑りが目についた。曲掛けのSPを最初から最後まで思い切りよく滑り、ステップではメリハリのある力強さを感じさせ、復調の兆しが見られた。

「この全日本では一応トリプルアクセルは跳ぼうかなと思って練習してきています。練習で1回でも跳べたら(試合で)入れていきたいと思っています。SPかフリーか、どちらで跳ぶかはまだ分からないです」

 練習で跳び始めたトリプルアクセルと、3回転フリップ+3回転ループの2大武器をきちんとプログラムに組み込んだ構成で挑み、目標とする「ノーミス演技」ができれば、浅田の表彰台は見えてくる。世界も認める技術と表現力を兼ね備えている浅田の浮沈の鍵は、10代選手たちとの勝負ではなく、自分自身との勝負になりそうだ。

 浅田の演技に注目が集まる中、いまや日本女子をけん引するエースとなった宮原もまた、追われる立場で臨む全日本に強い思い入れを持っていた。

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