次のステップへ。羽生結弦が語る300点超えの優勝よりも重要なもの (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 羽生自身がそう語ったとおり、今シーズン、さらに進化したプログラムのレベルの高さと、技術力や表現能力の高さを示す優勝だった。

「去年の300点超えはすごく嬉しかったですが、今回はホッとしました。もちろん、完璧にやらなくてはいけないとか、ショートで100点を超えたから合計で300点を取らなくちゃいけないとか、いろんな思いがありました。4回転ループに関してはもっときれいに跳べますし、他のジャンプもまだまだきれいに跳べるはずですから伸びしろがある。まだ表現も足りないですし、スケーティングやステップ、スピンも足りないと思います」

 このフリープログラムを作るために選曲や構成を考えた時、「トータルでの表現」を考えたと羽生は言う。その点では「もっともっと演技を突き詰められるし、微妙な呼吸感のようなものまで伝えられるプログラムにもできるはず」と意欲を見せる。

「今シーズンのふたつのプログラムを自分が楽しめる余裕が出てきて、お客さんと少しずつコネクトできるようになってきました。それが今回の成果だと思います。その点では、やっとベースができてきたなと。スケートカナダの時はベースも何もなくて、崩れ落ちてしまったというのが自分の中の感覚にありますから」

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