NHK杯SP首位発進も、
羽生結弦が感じた「シュッ」の微妙なズレ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 しかし、回転しきっていたという点が、今シーズンこれまでの2試合とは大きく違っていた。羽生は「公式練習は動ききれていないという印象がありましたけど、曲かけ以外ではずっといいジャンプが跳べていました。その点では明日のフリーでも、公式練習と6分間練習と試合をしっかり分けて、自分の中でいい状態にくっつけながらやっていければと思っています」と言う。

 SPの演技が終わった瞬間、羽生はリンク上で少しだけ悔しそうな表情を見せた。

「カナダより成長できた部分は多々ありますし、自信を持ってこのプログラムに向かうことができました。それに、日本での試合ということで、楽しみながらできたかなと思います。ただ正直、もうちょっとできたなという思いが強かったですね。冷静に考えて、4回転ループを成功させればあと5点くらいは伸びていただろうし、他の部分でももう少し得点を積み重ねることができるはずです」

 つまり、4回転ループ以外の要素も、まだ完成していないということだ。後半のトリプルアクセルからのシットスピン、ステップシークエンスでも、もっと攻める演技ができるだろう。『レッツゴー・クレイジー』はそれができるプログラムであり、その点を羽生はこう説明する。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る