2016.11.11

「挑戦することに生きている」羽生結弦。
だから今季も次戦に期待できる

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 左足甲がまだ完治していない状態の中で練習を再開した羽生が、最初に跳び始めたのは左足に負担がかからないループと、比較的ラクなルッツからだった。その中で4回転ループを構成に組み込むと決めた彼は、そのジャンプの完成に集中したからこそ、完璧な4回転ループが跳べていたのだろう。夏場から練習ではSPをノーミスで何度もやっていたというが、その要因は4回転ループの完成度の高さにあったはずだ。

 9月の公開練習でも、彼が跳ぶ4回転ループと4回転サルコウは、これまで以上に回転が速くなっているように見えた。その理由を羽生はこう話していた。

「感覚的にはわからないですけど、やっぱりループをやることによって体の締め方が安定してきたというのはありますし、軸の作り方が安定してきたということもあると思います。それに何より、プログラムの中でループが一番難しいジャンプということになるので、サルコウは2番目の(難度の)ジャンプという意識があって、自信も生まれるのだと思います」

 4回転ループがきれいに決まるようになれば、他のジャンプにもいい影響を与える。そうなればオータムクラシックで話していた「ジャンプの切れであったりフォームだったりスピードだったり......、そういうものが効率よくきれいにできるようになれば、無駄に体力を使うこともなくなって、ミスもなくなると思います」という状態になるはずだ。