指導歴50年、佐藤信夫コーチが語る「浅田真央に継承された凄い技術」 (4ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 僕にとってのスケーティングは、どこまでも滑らかなものなんです。スムーズで滑らかで、力でガガガガッと行くのではなくて、スーッと、誰かが下で引っ張っているのかなと思うような雰囲気のものであってほしいというのが僕の願望です。その気持ちを今でもずっと持ち続けていて、何とかそれを「やってみよう」と、みんなに言っているのです。

 何でもないように見える「スケーティング」でも、そこには技術があるのです。左足なら左足に体重をかけたら、当然のことながら曲がっているひざを伸ばせば、重心点が上がっていきますね。わずかにひざを伸ばすだけで自然とすぅーっと滑っていきます。その時に氷を押す気持ちを持っているのか、ただ次の行動のためにひざをピョッと伸ばしているだけなのか。その違いが、5歩、10歩、15歩とつながった時に、とんでもないスピードの違いに変わっていくことになります。ただ滑ってるようでも、技術なくしてスケーティングはできないわけです。

 僕はその一歩一歩の違いを自分で感じながらスケートをしている選手を見たら、それだけで背中がちょっとゾクゾクッとして、「いい選手だな」と思ってしまいます。現在のトップスケーターの中で、僕が魅力を感じるスケートをしているのは、カロリーナ・コストナーです。うまいですよね。

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