指導歴50年、佐藤信夫コーチが語る「浅田真央に継承された凄い技術」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 ただ、思ってはいるけど、それが現行のルールで「どこまで点数に反映されるの?」と言われたら、ほぼゼロですよね。やっぱり誰が何と言おうとジャンプを跳んだもの勝ちです。コンパルソリーをやっている時間があるんだったら、もう1回転、ジャンプを回ってろ、という話になってしまいます。

 現在の競技会では、どんどんと高度なジャンプ、いいジャンプが生まれて、勝負の中心になっています。それは規定であるコンパルソリーがなくなったことによって生じた現象でもあり、フィギュアスケートがこれだけ世界的な人気スポーツになった理由でもあるから、これは仕方がない。

 それでもフィギュアスケートが持っている普遍的なところは変わりません。僕は心の中で、スケーティング技術は忘れちゃいけないことなんだと思っています。正確で美しいエッジ使いで、本当のクラスターというターンをやったら、どれほどすばらしいか。背中がゾクゾクします。正確で美しいエッジの使い方をするためには上半身はこう使うんだというような技術は、やはり次の世代、その次の世代へと継承していきたいなという気持ちが強くあります。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る