宇野昌磨のスケートアメリカ優勝が物語る
「男子4回転時代」の戦い方

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 一方、総合2位のブラウンは、SPとフリーで各1本の4回転トーループに挑み、フリーではアンダーローテーションながら初めて成功。試合後はその興奮が冷めやらない様子で顔を紅潮させていたのが印象的だった。

 また総合3位のアダム・リッポン(アメリカ)は、2位につけたSPでは4回転を跳ばず、フリーでは4回転トーループに挑戦したが、転倒に終わった。2人とも4回転をきちんとは跳ばなかったにもかかわらず、表現力に長けており、演技構成点で勝負ができたからこそ、表彰台に立てたと言っていい。

 このことからみても、4回転を必要以上に入れても、それだけ失敗のリスクが高まるだけで、必ずしも勝てるとは限らないということが分かる。成功と失敗が紙一重の4回転を自分でどれだけコントロールできるか。演技とのバランスを考えて何本がベストなのか。それをしっかり見極めることがメダル争いをする上で必要不可欠になってきそうだ。

 その意味でも、宇野が見せたプログラムとジャンプ構成はベストな戦い方だったと言えるだろう。

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