宇野昌磨のスケートアメリカ優勝が物語る「男子4回転時代」の戦い方 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

「フリーはとりあえず必死で、緊張を楽しむと思っていたんですけど、それどころでもなくなって、どれだけ体力消耗しても、初めから120%の力を出し切ろうという状態でスタートした。(踊り切れたのは)シーズンオフの体力づくりがあったからこそできたと思います。また、今大会に向けて取り組んできたステップからの4回転トーループが2本とも決まるとは思わなかったので、それだけに最後の失敗は悔しかったです」

 試合後は、この失敗を何度も口にして悔やんでいたが、この悔しさが次の成長につながるはずだ。次戦のロシア杯がますます楽しみになってきた。

 シニア2年目で優勝を争う位置に一気に成長を遂げた宇野に対し、今大会の優勝候補に挙げられていたライバルの"4回転ジャンパー"金博洋(中国)は、得意の4回転ルッツを含めた4回転ジャンプが絶不調。SPとフリーで計6本の4回転を跳ぶ予定の中、3本も転倒する失敗を犯した。

 特に失敗が許されないSPで4回転を2本とも成功させられなかったことは勝負においては痛恨のミス。8位と出遅れたことが表彰台を逃す大きな原因となった。フリーでは圧巻のジャンプ構成を披露したが、4回転トーループで転倒したほかにジャンプミスでの減点も響いて4位にとどまり、総合5位に終わった。

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