羽生結弦、不満が残った初戦に「こういう状況は一番楽しいです」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 だが、前半最後のジャンプだった3回転フリップの着氷で詰まって流れが少し途絶えると、そこからはスピードが落ちた。後半に入った最初の4回転サルコウからの連続ジャンプは3回転+2回転になり、次の4回転トーループは回転不足で転倒。

 その後のトリプルアクセル+2回転トーループはきれいに決めたが、続くトリプルアクセルからの3連続ジャンプはアクセルの着氷が乱れ、とっさに1回転のトーループと1回転ループをつけるだけにとどめた。そして最後の3回転ルッツは踏ん張ることもなく転倒してしまい、疲労困憊で演技を終えた。

 結果、フリーの得点は172・27点。合計を260・57点にして優勝はしたものの、納得のいく出来ではなかった。

 ミックスゾーンで報道陣に答えた羽生は、「こういう状況で取材を受けるのは、一番楽しいですね」と言って笑みを浮かべた。それは、あまりにも納得がいかない結果に直面し、「もう開き直って前を向くしかない」と自分に言い聞かせているような表情だった。

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