羽生結弦が世界初の4回転ループを成功させても喜んでいないわけ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 競技が始まると、3人目にリンクに上がって滑り出した羽生は、スピードに乗ったイーグルの後に4回転ループを跳ぶ。着氷で少し体を沈めるような形になったが、こらえて見事に成功させ、"世界初"の認定を受けた。

 だが、歓声と手拍子が始まるなかで挑んだ次の4回転サルコウからの連続ジャンプは、最初のサルコウがパンクして1回転に。そして少し間を置いて強引につけた3回転トーループでは転倒してしまい、続くフライングキャメルスピンもスピードのない回転になってしまった。

 それでも、その後のトリプルアクセルはスピードを取り戻し、完璧に決めて持ち直す。歓声と手拍子で音楽が聞こえなくなるほど盛り上がる会場で、シットスピンとステップシークエンス、最後のコンビネーションスピンをしっかりまとめて演技を終えた。

 ステップはレベル4にはなったものの、約2週間前のトロントでの公開練習や今大会の公式練習で見せていた鋭さがなく、本人も「ぜんぜん(体が)動かなかったんです」と苦笑するような出来だった。

 結局、演技構成点は各項目8点台後半から9点台前半をもらって45・35点を獲得したが、技術点では4回転ループはGOE(出来ばえ点)加点も0・8点にとどまる。連続ジャンプは1回転になったサルコウが0点で3回転トーループのみ認定され、そこから減点されて43・95点。SP1位発進にはなったが、得点は88・30点と伸びなかった。

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