羽生結弦、今季プログラムは超高難度。「内容の濃さを楽しんで」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 そう語った羽生が、宇野昌磨の4回転フリップ成功のニュースを聞いたのは、歩くこともできなかった時期だった。

「それを聞いたときはもちろん悔しかったですし、自分も早くやりたいという気持ちも強かったんですが、自分がまったくスケートをできない時期だったので、逆に焦りすぎなくてよかったのかなとも思います。もし滑れる状態だったら焦って氷上に上がっていたかもしれないし、それで、もしかしたら違うところをケガしていたかもしれない。

 また、変なフォームになって崩れていたかもしれないですし......。ある意味、安静期間だったというのがあったからこそ、いい意味で力を蓄えられたかなと思います」

 こう話す羽生は、「それは今になってみてですけどね。その頃はメチャクチャ練習をしたいと思っていましたけど」といって苦笑した。

 そんな状況から練習を再開した時、最初に跳ぶことができたジャンプは左足を使わないループと、比較的左足に痛みが出ないルッツだったという。こうしたケガの影響もあって、昨シーズンにはアイスショーなどで挑戦していた4回転ループに取り組み、今季のプログラムに入れることを決めた。それは昨シーズンの年明けからの世界選手権へ向けた練習で、痛めている左足の影響でトーループの練習がほとんどできなかったため、後半の4回転をトーループからサルコウに変更したのと同じ考えでもある。

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