フィギュアスケート界の名伯楽が語る
「初心者にまず教えること」

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 いつスケートを始めるか。年齢が影響することは確かです。言葉と同じで、スケートの技術を覚えるのが若ければ若いほど、のちのち楽になります。スケートは13歳くらいまでにすべて決まってしまうようなところがあります。それを過ぎると、神経系が発育発達していく時期を逃すことになり、なかなか覚えられません。小さい時分から外国語を学んでおけばネイティブのようにしゃべることができるのと同じことです。

 本当に子どもというのは不思議です。僕はよくお母さんたちに「日本で世界選手権があるなら、どんな無理をしてでも子どもに生で見せたほうがいいですよ」と言うんです。

 実際にチケットを取って試合会場に行くと、子どもたち同士で遊んでしまっていたりするのですが、競技を見ていないようで、実はしっかり見て覚えているんです。何週間か経った後に、子どもたちが「これだったよね」とか「あの人はこっちの手がこうだったよね」と話し合っている。トップ選手の滑りを目に焼き付けているんです。だからこそ、小さいころから教えいくことが必要なんです。

「スケーティング」の話に戻りましょう。「サークルを描く」と言いましたが、英語圏の国では「スケーティング・エッジス」と言います。右足で半円を描き、左足で半円を描く。これは、エッジに乗って滑ることを教えるということです。

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