浅田真央が本格始動。
濃密な新プログラムから見えた今季の志向

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 このアイスショーで初めて披露された浅田の新しいエキシビションと、ジェフリー・バトルとのコラボにより2014年に滑ったナンバー『ボレロ』という2つのプログラムからは、今季、浅田が目指している演技がほのかに見えてきた。

 エキシビションナンバーである『チェロ・スイート』(無伴奏チェロ組曲)は、挑戦的かつ画期的なプログラム構成になっており、これまでのフィギュアスケートのプログラムで見たことがないほど濃密な内容だ。

 チェロの重厚な音が速いテンポでリズムを刻み、その音に合わせるように、細かくステップを踏みながら絶え間なく身体を回し続ける浅田の姿にくぎ付けになった。コンパルソリーの要素や、多彩なステップ要素が盛り込まれており、長年浅田のプログラムを振り付けてきたローリー・ニコル氏が、愛情たっぷりに作り上げた振り付けとなっている。このプログラムを完璧に滑り切れたあかつきには、浅田はさらに一段、レベルアップしたスケーターになっているに違いない。そう思わせるほど、バレエの動きも満載の素敵なプログラムだった。

「私自身、すごく気に入っている」と言うこのプログラムについて、浅田はこう語っている。

「今回の『チェロ・スイート』はフィギュアスケートのコンパルソリーだったり、基礎のステップだったり、いろいろなステップが本当にたくさん入っていて、"これが最初のフィギュアスケート!"という内容ですね。私はそこまで本格的には(コンパルソリーは)やっていないですけど、すごく勉強になりました。やっていて練習になるので、このプログラムを踏めれば(やりこなせれば)、試合のプログラムも楽に滑れるんだろうなと思います」

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