鈴木明子が浅田真央を語る。「ストイックさに少しの変化が...」 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro  是枝右恭●写真 photo by Koreeda Ukyo

――前回の世界選手権で銀メダルに輝いた宮原選手が5位、前回6位の本郷選手は8位に終わりました。日本人女子が世界選手権でメダルを逃したのは11年ぶりのことです。

鈴木 今回の世界選手権は技術的にも、表現の部分でも素晴らしかった。特に優勝した16歳のエフゲニア・メドベデワ選手(ロシア)は技術が高く、ソチ五輪後の新ルールにマッチした演技構成で臨んでいました。「どうすれば点数が獲れるのか」を熟知していて、ジャンプのあとのつなぎの部分でも緻密な演技を見せて、得点を加えました。彼女の演技がロシア勢の強さを表しています。

――日本人選手はそれぞれに持ち味を発揮しながらも、表彰台には届きませんでした。

鈴木 宮原選手は5位に終わりましたが、シーズンを通して安定した演技をしました。少しずつステップを上がっています。内容的には、本人も満足しているのではないでしょうか。ただ、パーフェクトな演技をしても表彰台に上がれない、という現実があります。大事なのは、「この大会で何を感じたか」です。持ち味である「正確でミスのない演技」に何をプラスするか......。ジャンプをもっと大きくするのか、「訴える力」を身につけるのか。どちらも難しい課題ですが、今シーズンの経験が宮原選手を強くしたことは間違いありません。

 一方、会場の温かい雰囲気に助けられたのが本郷選手です。これまでは勢いで滑っているところがありましたが、「お客さんが乗ってくれると楽しい!」と気づいたようです。彼女にこんなに「引き込む力」があるとは知らなかったので、驚きました。

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