どこまで伸びる?羽生結弦が火をつけたフィギュア高得点化の波 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by  Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 演技構成点でもSP、フリーともに5項目で満点の10点を付けた審判が多く、SPでは満点にあと0・86点の49・14点を獲得。フリーでは満点の100点にあと1・44点の98・56点を獲得と、ほぼ上限に近くなっている。

 技術点の加点に関していえば、選手たちはジャンプの質を上げたり、跳ぶ前と着氷後に技をつなげることで、より多くの加点を得るための努力をしている。世界選手権で優勝したメドベデワのように、ほとんどのジャンプで片手を上げるか、または両手を上げて跳ぶ選手も増えており、すべての選手が細かなところまで神経を張り巡らせて得点の向上を目指しているのだ。

 さらに、各選手が演技構成点でより高得点を獲得するための対策をする状況で、審判側も、これまでより満点を出すことに、以前より抵抗感を感じなくなっているともいえる。

 そんな高難度化と高得点化のなか、ジュニア世代でケガが増えているのも確かだ。今季のジュニアGPファイナル3位の山本草太は足首骨折のため世界ジュニアを欠場。ジュニアGPファイナル優勝のネイサン・チャン(アメリカ)も全米選手権のフリーで4度の4回転を成功させて銅メダルを獲得した直後、エキシビションで股関節を痛めて世界ジュニア欠場となった。

 高難度のジャンプを続けることで疲労蓄積があったことは否めない。女子でも、ジュニアGPファイナル優勝のポリーナ・ツルスカヤ(ロシア)が、世界ジュニアのSP直前にケガをして欠場と、男女ともファイナル王者がケガで欠場する事態となった。

 羽生はそんな高得点化の傾向についてこう語る。
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