どこまで伸びる?羽生結弦が火をつけたフィギュア高得点化の波

  • 折山淑美●取材・文 text by  Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 同じ流れは女子でも見られた。GPファイナルでのエフゲニア・メドベデワ(ロシア)は、2010年バンクーバー五輪のキム・ヨナ(韓国)と、14年ソチ五輪のアデリナ・ソトニコワ(ロシア)に次ぐ222・54点を獲得。しかも、世界選手権のフリーではキム・ヨナの世界最高得点を0・4点上回る150・10点。合計でも歴代3位の223・86点にして優勝を決めた。

 さらに、2位のアシュリー・ワグナー(アメリカ)も215・39点、3位のアンナ・ポゴリラヤ(ロシア)は213・69点。4位以下も200点台が続き、7位の浅田真央も200・30点と、かつてないハイレベルな戦いになった。

 高得点化の要因のひとつは、ジャンプの構成の難易度がより高くなってきていることにある。男子では、シニア1年目のボーヤン・ジンがルッツとサルコウ、トーループの3種類の4回転ジャンプをSPとフリーで合計6回入れ、そのうち3回は得点の高い演技後半に組み込んだ。これを筆頭に、複数種類の4回転をSPで2回、フリーで3回入れることが当たり前のようになってきている。

 また、GPファイナルでの羽生の得点を見れば、SPでは4回転サルコウと4回転トーループではGOE(出来ばえ点)で満点の3点をもらい、7要素の得点は合計で14・36点の加点をもらっている。フリーでは4回転サルコウと4回転トーループに加え、トリプルアクセル+2回転トーループでGOE満点の3点を獲得し、コレオシークエンスも全審判が+3点を付けて満点の2・1点の加算。こちらも13要素の合計で25・73点の加点をもらっている(ちなみに、13年のフランス杯でパトリック・チャンが当時の世界最高得点である295・27点を出した時は、GOEの合計がSPは9・64点でフリーは17・48点)。

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