浅田真央、今季自己最高点。苦闘のシーズンも「うれしい」と語れる強さ

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 結果は今季の中で一番悪い順位の総合7位。 だが合計得点は今季自己ベストの200.30点をマークした。2シーズン前の休養直前に優勝した世界選手権で出した216.69点の自己最高得点には及ばないものの、それ以来の200点 越えを果たし、両手の親指を立てて笑顔になった。

「やっぱり世界選手権という大きな舞台で、SPが自分の思いどおりにいかなくて終わったときは『あ~、何をやっているんだろうな』って、いつもだったら落ち込んでいたと思うんですけど、何かちょっと違う気持ちだったので、もう一度気持ちを切り替えて、思い切り自分を信じるしかないなと思って滑りました」

 今回の世界選手権でも、代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の成否が勝負を大きく左右したといえるだろう。SP、フリーともに回転不足を取られ、GOE(出来栄え点)も大きく減点されて得点源を失った。それでもフリーではしっかり回り切るジャンプだったこともあり、勢いに乗って『蝶々夫人』を演じ切った。蝶々夫人のように芯の強い女性、浅田真央の魂が込められた演技に、会場の観客はすっかり魅了されていた。


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