フィギュア世界選手権。羽生、宇野による「枠獲り」に期待 (2ページ目)

 今シーズン2戦目だったスケートカナダでも、思うような演技ができず、悔しそうな表情を見せていた羽生選手でしたが、その後、ご自身が語っていたように「血の滲むような努力」を重ね、NHK杯、そしてグランプリファイナルでは本当に素晴らしい演技を見せてくれました。

世界選手権が行なわれるボストンに入り、本番に向けて練習する羽生結弦選手 photo by Noto Sunao世界選手権が行なわれるボストンに入り、本番に向けて練習する羽生結弦選手 photo by Noto Sunao そんな驚異的な結果を残してきている姿と、先を見据えて前に進む力を目の当たりにすると、今大会、全日本選手権で味わった悔しさをどうエネルギーに変えてくるのか、また、それがさらなる世界最高得点につながるのか、期待せずにはいられません。

 いつも「見ている人の心を動かすような、そんな演技がしたい」と話されている羽生選手の口から、「納得の演技ができた」という言葉を今回の世界選手権の演技後のインタビューで聞きたいと思っています。

 そして日本男子はもうひとり、初めての世界選手権となる宇野昌磨選手がどんな演技を見せてくれるのかも楽しみです。

 宇野選手は四大陸選手権で4位。SP、フリーともにジャンプではノーミスで3位のハン・ヤン選手、フリーで4回転を4本入れた2位のボーヤン・ジン選手、そしてパーフェクトな滑りで優勝を果たしたパトリック・チャン選手ら、ライバルの演技を間近で見て、とても刺激になったはずです。

「試合当日にステーキを食べる」という宇野選手ですが、今シーズン、シニアの舞台を経験して、着実に成長しています。その宇野選手の演技でとくに注目したいのは、さらに磨きのかかってきた"表現力"と、全日本のフリーで冒頭の4回転トゥループが2回転トゥループになった後、最後のジャンプでリカバリーしようとした"攻めの姿勢"です。

 そして、今回は「2」になっている日本男子の世界選手権出場枠を、再び「3」に増やせるかどうかも見どころのひとつです()。全日本選手権であれだけハイレベルな競争が繰り広げられる選手層の厚い日本男子フィギュアですから、2枠というのはもったいない気がします。また、2018年の平昌五輪に向けても、世界選手権の枠獲りは非常に重要になってきます。
※1枠増の条件は、日本勢上位2名の合計順位が13位以下であること。2015年の世界選手権では日本勢上位2名(羽生選手が2位、小塚崇彦選手が12位)の合計が14だったため、今年は1枠減った。

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