荒川静香トリノ五輪金メダルから10年。日本フィギュアの何が変わったのか (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha フォート・キシモト●写真 photo by PHOTO KISHIMOTO

 その浅田ももう25歳になった。トリノ五輪後のシーズンからは、代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に世界のトップスケーターとして活躍し続ける。この10年間、彼女は成長の軌跡とともにフィギュア人気をけん引してきたと言っても異論はないだろう。

 世界女王にもなった浅田は、10年バンクーバー五輪で「永遠のライバル」キム・ヨナと金メダル争いを演じて惜しくも銀メダリストに。その4年後の14年ソチ五輪では金メダルを狙ったものの、総合6位に終わった。2度目の五輪では、ジャンプの失敗が響いてSPで16位と大きく出遅れながら、フリーでトリプルアクセルを含めた全6種類の3回転ジャンプを、女子史上初となる計8度着氷させる偉業を成し遂げ、自己ベストの142.71点をマーク。メダルには手が届かなかったが、その演技は世界中のファンの心に深く刻まれた。浅田真央にしかできない、記憶に残るすばらしい演技だった。

 ソチ五輪後、浅田は現役引退を考えながらも、1年間の休養を取り、2015~16シーズンの今季、競技に再び復帰した。一方で浅田が不在だった昨季以来、10代の宮原知子、樋口若葉ら若手選手の台頭が著しい。荒川静香から浅田真央へ、そして宮原知子へと、バトンは着実に受け継がれている。平昌五輪が開催される2年後に向けて、今後もフィギュア人気は勢いを増していくはずだ。

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