荒川静香トリノ五輪金メダルから10年。日本フィギュアの何が変わったのか (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha フォート・キシモト●写真 photo by PHOTO KISHIMOTO

 フィギュア人気は一過性のブームで終わることなく、この10年間、年を重ねるごとに勢いを増していると言えるだろう。新聞ではシーズン中の秋冬だけでなく、春夏でもアイスショーや選手の動向が報じられるようになり、テレビではゴールデンタイムに国内外のフィギュア大会が中継されるようになった。

 国内の試合はもちろん、日本選手が活躍する国際大会が増えるようになると、それに比例するように日本から多くのフィギュアファンが大会会場に詰めかけるようになった。昨年12月にバルセロナで開かれたグランプリファイナルでも、先週、台北で行なわれた四大陸選手権でも、日本から大勢のファンが観戦に訪れ、スタンドでは多くの「日の丸」が振られて、バルセロナも台北も会場はさながらホームのようだった。こんな状況になるとは、10年ちょっと前にはフィギュア関係者でさえ想像がつかなかっただろう。

 フィギュア人気が日本に定着したのは、荒川の金メダルとともに、熾烈を極めたトリノ五輪代表争いで話題をさらった15歳の少女の存在があったからでもある。当時、「なんで五輪に出られないんだ」と首相にまで言わせたその少女こそ、いまや国民的人気のスター選手になった浅田真央である。シニアデビューの2005~06シーズンは目覚ましい活躍を見せて五輪代表待望論まで飛び出したが、トリノ五輪には年齢制限のルールで出場できなかった。

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