全日本でも高得点。羽生結弦がミスをしても100点超えできる理由 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●写真 photo by Noto Sunao

 この時の演技構成点の各項目を見ると、「スケーティング技術」と「要素のつなぎ」の9・11点が最低で、最高は「振り付け」の9・43点で合計は46・29点。もし3回転連続ジャンプが完璧でGOEを1・00点もらう出来だったら、101・58点を獲得していた計算になる。

 それに近い点数を実現させていたのが、『パリの散歩道』で完璧な演技をしたソチ五輪のSPだった。チェンジフットシットスピンこそレベル3だったが、それ以外の要素は完璧で、技術点の基礎点は43・96点。GOEを加えた技術点は54・84点を出し、演技構成点では46・61点をもらって、史上初の100点超えとなる101・45点を出していた。唯一レベル3だったスピンをレベル4していれば、基礎点は44・36点になって、合計で101・85点を出していた計算になる。
 
 そして、さらに進化するために、昨シーズン前に羽生が目指したのが、冒頭にトリプルアクセルを入れ、後半に4回転トーループを入れる構成だ。それは、技術点の基礎点が、スピンとステップがすべてレベル4なら44・54点になるものだった。

 そこからさらに難度を上げ、今シーズンのNHK杯から始めている4回転サルコウと4回転トーループ+3回転トーループを入れた演技構成の基礎点は、今回は48・05点。羽生が「4回転を2本入れたのは大きい」と言ったように、今回はサルコウの転倒があっても技術点は55・86点。ノーミスだったソチ五輪のSPで、スピンなどすべてレベル4と仮定すれば、GOEを加えた技術点は55・24点になっていたが、今回の全日本では、ミスをしてもその点数を上回ったのだ。

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