2015.12.25

鈴木明子さんが解説。
浅田真央とライバルたちの全日本フィギュア

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

――この12月、鈴木さんが上梓した『プロのフィギュア観戦術』(PHP新書)の中で「フィギュアスケートはコツコツ努力し続けた人が最後に勝つスポーツだ」と書かれています。

鈴木 はい。これは、私が23年間競技を続けて得た結論なのですが、彼女がこの言葉を体現してくれています。もともと私は自分を「努力型」の選手だと思っていたので、宮原選手に親近感を覚えています。彼女はまだ17歳で、今後どう変化していくのかは未知数なのですが、「コツコツ努力する」という個性は変わらないでしょう。宮原選手より下の世代は彼女が努力する姿を見ているので、「努力すれば強くなれる。私も!」と目標にするはずです。メダリストという立場になったので、誰かに遠慮することなく、堂々とした滑りを見せてほしい。

――そのほかの注目選手を教えてください。

鈴木 私がショートプログラムの振付を担当したこともあって、本郷選手のことはどうしても気になります。以前は、与えられた練習をこなしているように見えた時期もありますが、昨シーズンから積極性が出てきました。新しいことを吸収したい、自分のスケートをしたいという前のめりの姿勢が成果につながっています。

 ケガのために始動が遅れたのですが、その後は順調に成長しています。昨シーズンがよかっただけに、今シーズンが勝負です。これから、山あり谷ありだと思いますが、長久保裕先生をはじめとするコーチたちは「明子でいろいろ経験したから、私たちはじっくり構えられる」と言っています。

若手の成長が目覚ましいが、村上佳菜子にも伸びしろがある

――宮原選手は17歳、本郷選手が19歳ですが、もっと若い選手の台頭もあります。

鈴木 昨年の全日本選手権3位の樋口新葉選手(2001年1月生まれの14歳)はまだ中学生。ですが、2014年12月の全日本選手権では優勝候補のひとりに挙がっていました。樋口選手は、2013年の全日本ジュニア選手権に、浅田真央選手、安藤美姫さんと同じ中学2年生で優勝し、一気に注目されました。2015年3月の世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得、10月のジュニアGPクロアチア杯で2位に入るなど、着実に成長しています。

 樋口選手はまだジュニアですが、彼女を試合で見たときに、「最近いなかったタイプだな」と思いました。最近はジャンプも表現力もあるジュニアが多いのですが、彼女は持ち前のスピードを活かしてガンガン跳んでいきます。スカッと爽快な、スポーツとしてのフィギュアスケートを見せてくれます。そこが彼女のいちばんいいところ。ロシア勢のジャンプとはまた違った魅力を持っています。スピードがあるので、高さも幅もある質のいいジャンプが跳べるのです。今後どんなスケーターになるのか、楽しみで仕方ありません。

 ほかに若い選手のなかで注目しているのは、本田真凛選手(2001年8月生まれの14歳)と青木祐奈選手(2002年1月生まれの13歳)。ふたりとも同じ学年で、ほかにもいい選手がこの世代に固まっています。彼女たちは、ジャンプの難度が高く、表現力も兼ね備えています。ふたりはタイプが違うので、切磋琢磨していってほしいと思います。