世界最高得点更新。
羽生結弦がNHK杯SPで感じた「久しぶりの気持ち」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 能登 直●写真 photo by Noto Sunao

 今シーズン、その演技構成に再挑戦することになり、羽生は初戦のオータムクラシックと次のスケートカナダで試みた。ともにノーミスの演技はできなかったが、「もしノーミスでできたとしても、それは昨シーズン挑戦しようとしたことができたに過ぎないし、さほど成長したとはいえない」と考えた羽生は、今回の新たな構成に変えることを決めたのだ。また、今シーズンの中国杯でボーヤン・ジン(中国)が4回転ルッツ+3回転トーループを成功させたことも、その思いに拍車をかけたのだろう。

SPで4回転ジャンプを2回成功させ、歴代最高得点を更新した羽生SPで4回転ジャンプを2回成功させ、歴代最高得点を更新した羽生 そして、今回のNHK杯SPで、羽生はこれまでの2戦で感じさせていた後半の4回転を意識しすぎた窮屈な滑りを一変させ、伸びやかに滑った。

 冒頭の4回転サルコウは、羽生自身が「本当にあれはよく耐えましたね。終わったあとでブライアン(・オーサー)にもそう言われました」と苦笑するように、着氷で前につんのめってしまい、エッジの先で何とかバランスを保つジャンプになった。だが次の4回転トーループ+3回転トーループは、6分間練習でも見せていた完璧なジャンプ。GOE(出来ばえ点)で2・57点の加点をもらう出来だった。

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