髙橋大輔らトップ選手を支えた栄養士が語る「秋冬のアスリート食」 (3ページ目)

  • 川喜田研●構成 text by Kawakita Ken

 もうひとつ、粘膜の強化という意味で重要なのが「ビタミンA」です。とくにカボチャやニンジン、みかん、柿など、オレンジ色の野菜や果物に多く含まれる「カロテン」を積極的に取ると粘膜が強くなります。ビタミンAには過剰摂取による障害もあるのですが、野菜や果物に含まれるカロテンは必要な時だけ体内でビタミンAに変わってくれるので、その心配もありません。強い粘膜を保って、菌やウイルスが身体に入り込まないようにするため、オレンジ色のカボチャやニンジンなどを多めに食べるように選手たちに伝えています。

■身体の「冷え」を防ぐ!

 鼻や喉の粘膜を強化しても、菌やウイルスが体内に侵入してしまった時のためには、どうしたらいいでしょう? 寒い季節に気をつけたいのは身体の「冷え」を防ぎ、体温を高く保つことです。体が冷えると代謝も落ちますし、免疫力、抵抗力が下がります。では、どうやって体温を高く維持するか? いちばん簡単なのは暖かいスープや鍋物など、単純に暖かいものを食べることで体の中から温めること。さらに「あんかけ料理」などとろみのあるものだと、胃の中での滞留時間も増えますから、お腹の中にカイロを入れたように、ジンワリと内側からカラダを温めてくれるので、冷えの予防に最適です。

 また、「冷えを防ぐ」という意味ではタンパク質を上手にとることも有効です。タンパク質を食べると体温が上がりやすい。なぜかというと、消化するためにより多くのエネルギーを使うからです。また、秋から冬のこの季節は寒いので、関節や筋肉の可動域が小さくなりがちですから、良質なたんぱく質をしっかりと摂って、適切なトレーニングと組み合わせて筋肉量を維持する。それが、冷えの予防にもつながります。体内に入り込んだ菌やウイルスと戦う白血球もタンパク質から作られるので、その意味でも大事です。

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