フランス杯フリー中止の波紋! どうなる宇野昌磨のファイナル進出

  • 辛 仁夏●文 text by Synn Yinha  photo by AFLO

 そして、その成果をしっかりと出せた。今季、宇野がSPの演技をしたのは、USクラシック、スケートアメリカに続いて3大会目。1戦ごとに成長を遂げている演技内容を見せてきたが、ついに今回、すべてのジャンプを成功させての首位発進だった。それも、今年2月の四大陸選手権で出した自己ベストを更新する89.56点をマークする会心のノーミス演技。本人も「今シーズンのSPでジャンプを成功させることができて、『やっと』という気持ちが一番強いです」と、ようやくつかんだ手応えを口にしている。

 シーズン最初から「守りに入らず、攻めの気持ちで今季は取り組みたい」と話していたように、日本男子期待のホープは若さと勢いを見せつける試合ぶり。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳び、得点が上がる後半に組み込んだ4トーループを鮮やかに成功させて、最後の3フリップ+3トーループも1点以上のGOE加点を得るなど、全3回のジャンプをしっかり決めた。他のトップ選手たちはいずれもジャンプミスが出て、得点を伸ばすことができなかった。2014年ソチ五輪銀、銅メダリストのパトリック・チャン(カナダ)とデニス・テン(カザフスタン)や、昨年のGP大会で連勝したマキシム・コフトゥン(ロシア)ら強豪を抑えてのSP首位の快挙。「SPが今季一番の課題だったが、やっと練習の7割ぐらいの演技ができて安心」と話すほど上出来の演技を見せた。

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