中国杯優勝の浅田真央。印象的だった「とてつもない伸びしろ」 (4ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha   能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 いずれも完璧にはできなかったが、あえてシーズン序盤からこのジャンプ構成にチャレンジした意気込みにすごみが感じられた。休養明けの復帰初戦で挑戦すること自体、並大抵のことではできないからだ。それをやってしまうところが浅田らしかった。

「今回、SPとフリーでトリプルアクセルを跳べたことは、今後の試合に向けて自分の自信になったかなと思います。アクセルの調子はこのまま続けていって、他の部分ではSPでもフリーでもまだまだ減点されるところがあるので、他の部分の質をもっともっと上げていかないといけないなと思います。

 3ルッツについては、単発ではいけるんですけど、トリプルアクセルからフリップ+ループ、ルッツという難易度の高いジャンプが3つ続く(フリープログラムの序盤の)ところが、自分の中で大きな壁ですね。この3つのジャンプのリズムをもっともっともっと自分の中に入れていかないといけないと思っています。NHK杯(27日開幕)までにはこの3つのジャンプをもっともっと練習していったら大丈夫かなと思います。自分のいまの課題としては、3つの大きなエレメンツの質を高めていくことです」

 演技後の取材で、浅田は、普通は2度重ねて使う「もっと」という言葉を、力を込めて3度続けた。自分はまだ「もっと」できる。「もっと」やるべきことがある。「もっと」上にいける。そんな強い思いが3つ目の「もっと」から伝わってきた。どん欲な向上心を持つアスリートなのだと改めて感じた瞬間だった。

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