フリーで挽回も2位。羽生結弦が自己分析した次戦への課題 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 SPが終わった後に客観的になって振り返った羽生自身の分析は、「そんなに調子は悪くないな」というものだった。2回転トーループを2回やってしまったから得点が伸びなかっただけ。だからフリーでは、ノーミスという結果を狙うのではなく、ひとつひとつの要素ごとに何を注意してやればいいか考えながらやるという、練習通りの滑りをすればいいと考えた。その結果、ミスはありながらも、後半の4回転で手をつきながらこらえることができた。

 羽生の得点は、オータムクラシックをわずかに上回る186・26点で、合計259・54点。前日のSPでの他の選手の状態を考えれば、逆転優勝も可能かと期待を膨らませた。

 そこに立ちはだかったのが元・世界王者のパトリック・チャンだった。

 この大会は朝の公式練習まではジャンプに不安定さを見せていたが、チャンはギアを一段上げたスピードで滑り出すと最初の4回転トーループ+3回転トーループの連続ジャンプを成功させ、不安があったトリプルアクセルもきれいに決めた。その後に予定していた4回転トーループは3回転に抑えたが、重厚なステップで会場を盛り上げると、すべての要素でGOE(出来ばえ点)の加点をもらう完璧な演技をして190・33点を獲得。合計を271・14点まで伸ばした。

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