まさかのパンク。羽生結弦が分析した予想外のミスの原因 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 その結果、羽生は終盤のステップやコンビネーションスピンも含めて7種類中5種類の要素でGOE(出来ばえ点)の加点をもらう出来だったにもかかわらず、73・25点で6位というまさかの順位だった。

「演技の前、氷の上にハエがいたので『踏むとイヤだな』と思って拾って外に出しましたけど、それで集中力が切れたわけではないですし、やることはやったと思います。だから自分では、この点数がどうのこうのではなく、『そんなに悪かったかな?』という印象が強いです。4回転トーループは2回転になってしまったけど、全体的に体は動いていたし、キレていました。いい感じで氷に乗れていたと思います。それでも、失敗してしまったことには変わりないので、なんと言っていいかわからないです。(演技後の)今もまだ自分の体を動かせる状態ですし疲れてもいないから、たぶんもう一回演技をすればうまくいくと思います。そのくらいに調子がよかったから、何がダメだったのかを振り返る気持ちにまだなっていないという感じです」

 連続ジャンプのセカンドには、最初のルッツが2回転になっても3回転であっても、降りた後「2回転のトーループをつけようと思っていた」と言う。

「そこはちょっとダブル(2回転ジャンプ)の重複(はルール違反)ということがわかっていなかったんです。フリーではそういうルールをちゃんとわかっていたけど、ショートではそれが頭に入っていなかった。そこが自分のいちばん悪いところだったと思います」

 こう反省したとおり、今回のミスは羽生にとって予想外のものだった。仮に失敗した2種類のジャンプが決まっていれば、合計95点オーバーの得点になっていたはずだ。

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