羽生結弦が新エキシビション『天と地のレクイエム』に込めた思い (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 羽生は、終演後にマイクを手にした。

「神戸で『天と地のレクイエム』をやらせていただけたのは、本当にうれしいことです。神戸は大震災から復活した、というより、新しい素敵な街に生まれ変わった。その街で、皆さんの前で滑れたことは、本当に幸せでした。僕は先日、福島へ行ってきました。まだまだ復興はしていませんでした。これからも、みなさんが、東北のみならず津波の被害を受けた茨城県や千葉県のことも忘れずに、支援活動を続けてもらえたらと思います」

 こう話した後、マイクを離すと、肉声で「ありがとうございました!」と感謝の言葉を口にして、羽生はリンクを去った。

 その1週間後、"フィギュアスケート・アオーレ長岡"で、疲労がたまった状態だったにもかかわらず、羽生は志願して2回目の公演で『天と地のレクイエム』を演じた。新潟もまた、2004年の中越大地震で甚大な被害を受けた地だ。

 心の中にとどめていた大震災への思いを、自分の作品として表現することで、羽生はまた新しい一歩を踏み出した。
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