今シーズンは「和風」。羽生結弦が語った新プログラムの狙い (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

「彼女の振り付けのなかで、まだ自分の得意な動きが確実にできていないというか、お互いが完璧に理解し合えているというわけではないと思う。その意味では、ジェフリー・バトルさんに作ってもらった『パリの散歩道』(2013-2014シーズンのショートプログラム)を滑り込んで、自分のものにできたように(このプログラムも自分のものに)したい。それとともに、本当はこういうテイストの曲は日本人に作ってもらった方がもっと"和"の雰囲気が強くなると思いますが、あまりにも日本らしくしすぎるのはどうなのかな?という思いがあったので、日本人ではなく(カナダ人の)シェイリーン・ボーンさんにこの『SEIMEI』を振りつけてもらって、世界から見た日本の素晴らしいところもピックアップしていければと考えました」

能や狂言の動きも参考にしているという羽生結弦能や狂言の動きも参考にしているという羽生結弦 こう話す羽生は、プログラム作りをする過程で、シェイリーン・ボーンと一緒に日本の伝統舞踊について調べたという。狂言や能の動きを見て、姿勢を振らさずに流れるように歩く動きや滑らかさは「スケートにも通じるものだと感じた」と言う羽生は、そうした動きを「これからの自分の演技の中に取り入れていきたい」と目標を語った。

 また、「アイスショーのスポットライトを浴びるときの照明と、試合の明るい照明では見え方も違うので完成形ではないです」という衣装については、平安時代以降、公家の普段着だった狩衣(かりぎぬ)をイメージしたものを選んだ。

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