羽生結弦、苦難の今シーズン総括。「自分のせいだと思っています」 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

エキシビションで『パリの散歩道』を披露した羽生結弦エキシビションで『パリの散歩道』を披露した羽生結弦 五輪王者には飽くなき向上心がある。「まずは(今季)成長してないところからあげてみると......」と言って、こう続けた。

「(昨年末の腹部の)手術などは仕方ないとはいえ、自己管理不足や自分の注意不足というのは明らかにあったと思います。中国杯のアクシデント(6分間練習で中国のエン・カンと衝突して負傷)にしても、みなさんが思っている以上に自分のせいだと思っていますし。まずはベストの状態に持っていかなければいけないけど、万全ではなくてもベターな状態にして、毎回、最低でも今大会くらいの演技をしなければ、これからますます大変になると思うので、しっかり管理していかなければいけないと思います」

 今シーズンの数々の経験を、「振り返ってみれば貴重なもの」と話す羽生。苦難をくぐりぬけて競技を続けるなかで、さまざまなことをプラスにとらえる強さを彼は持っている。

「こういう(ポジティブで前向きな)性格だからこそ、あのようなアクシデントから這い上がってこられたのだと思いますし、常に勝利を勝ち取るんだという強い気持ちを持っていられたのだと思います」

 予想もしないアクシデントで目標が達成できないこともある。そのことを知った今シーズン、そこで感じた大きな悔しさを糧に、羽生は新たな自分との戦いに踏み出す。

「(今季は)練習方法など、綿密に計画を立てて、何が必要で、何をすべきなのかひとつひとつ考えるきっかけになった。ケガをしてからどう調子を上げていくのか、どう身体を整えていくのか、ということも含めて、貴重な経験をさせていただいたなと思っています」

 そう力強く語った羽生は、エキシビションで昨シーズンのSP『パリの散歩道』をノーミスで演じきり、フィナーレでも見事なジャンプを決めてみせた。来シーズンがどんなプログラムになるのか、心から期待したい。
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