羽生結弦語録。フィギュア世界選手権で語っていた本心とは? (5ページ目)

  • 辛仁夏●取材・文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 自分が強くなったというよりも、周りの方々が支えて下さっているんだということを、オリンピックシーズン以上に感じたシーズンでした。もしこうやってテレビに出ていなくて、下の順位を争っている選手だったらニュースにもならなかったし、こういう態勢で皆さんが支えて下さることもなかったと思います。こうやって皆さんに心配していただいて、そこでいろんなことを皆さんが考えてくださって、フィギュアスケートでも衝突事故で命にかかわる脳振とうとかが起こりえるということについて、皆さんが考えてくださったので、僕は本当に恵まれているんだと思えました。

(自分が何も)できなかったという気持ちはあまりないです。挑戦のシーズンだったと思っていますが、それが失敗したかどうかは、人それぞれの見方によると思います。『失敗は成功のもと』とよく言うように、失敗しなくては気づけないこともたくさんあると思いますし、今回の衝突事故も誰かが起こさなくては誰も気づかないことだったと思っています。無駄なことはひとつもなかったと思います。昨年夏に、フリーもSPも後半に4回転を入れてノーミスにできる状態にはなっていたので、またひとつひとつ、夏の経験やシーズンを通しての経験を踏まえながら進歩できると思っています。

 今季はそれ(挑戦)よりもやるべきことがたくさんあっただけです。もちろん後半に4回転を入れないといけないという義務感はありました。そう言ってしまいましたし(笑)。でも、それよりもまず、自分が何をすべきなのか、自分がいまのコンディションの中で何ができるのか、ということを常に考えてシーズンを終えられたのかなと思います」

 最後に、羽生はあらためてこんな言葉を残して来季に目を向けた。

「来シーズンもこの課題に挑戦したいと思います。ただ、それも体と相談しながらだと思います。夏には絶対に挑戦して追い込むと思うので、また自分自身も楽しみにしながら頑張りたいなと思います」

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