世界ジュニア制覇。「賭け」に勝った宇野昌磨が得たもの (4ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 だが結局、最初のトーループは3回転のダウングレードと判定されていた。最後の連続ジャンプの後半を2回転にした宇野の判断が正解だったのだ。

「一番ハラハラしたのは、自分の得点が出るまででしたね。もし130点台だったら、最初のジャンプがダブルの判定になって、最後の連続ジャンプがキックアウト(ノーカウント)になっているということだから……。でも147.67点と出たから、『トリプルにとってもらえたんだ』と思ってホッとしました」

 合計得点は、ジンを2.84点上回る232.54点。その後、SP3位だった最終滑走のアレクサンダー・ペトロフ(ロシア)も転倒2回でフリー10位と大きく崩れたことで、宇野の初優勝が決まった。

「4回転の大きなミスが一番心に残っていますね。その失敗を引きずるというのではないけど、それで生まれた不安もあってすべてのジャンプが危なかったので……。もうひとつ失敗したらどうしようというのもあったし、それでも攻めなきゃというのもあって、半分半分の気持でした。ただ、3回転ルッツが練習ですごくダメだったのでダブルアクセルに変えようかとも考えてみたけど、最後のジュニアの大会だし、ここまで直してきたから跳ぼうと思ってやった。それをしっかり決められたことが良かったです」

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