【フィギュア】涙のシニア世界デビュー。宇野昌磨のこれから (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AP/AFLO

 だが気合を入れ直して臨んだフリーは、ソウル入りしてから徐々に調子が悪くなっていったというジャンプでつまずいた。冒頭の4回転の着氷が乱れ、プログラム中盤の連続ジャンプで転倒と2度のミスを出した。ジュニアと比べてシニアは30秒長い4分30秒を滑らなければいけないために、ごまかしはきかなかった。それでも、2本跳んだトリプルアクセルでは高いGOE加点を引き出した。

 初優勝のデニス・テン(カザフスタン)ら、表彰台に立ったシニア勢がフリーでミスせずにしっかりと演技をまとめてきた中で、宇野はSP2位からフリー5位と順位を下げて、総合5位に終わった。フリーの演技後、キスアンドクライで悔し涙を流した宇野はこう振り返った。

「苦しかったというのが一番の感想です。ソウル入りしてから少しずつ調子が落ちていった。何とかうまくまとめられたが、順位よりも得点よりも、いつもの演技ができなかったのが悲しいです。試合が始まる前から悲しい気持ちだった。練習してきたことができない自分の無力さに悔しさとむなしさがあったから」

 大人びたコメントを口にするのは、目指す頂が高い証拠だろう。自分はこんなものでは終わらないという自負もあるかもしれない。シニア国際デビュー戦は宇野にとってほろ苦さを味わうものになったが、この経験を糧にすることで、さらなる成長ができるに違いない。

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