【髙橋大輔の軌跡】バンクーバー五輪までの険しい「道」で得たもの (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi photo by JMPA

「このメダルは僕にとってはご褒美だと思う。ケガをしたことはこれからの僕のスケートや人生にとって、すごく勉強になった。今回は失うものがなかった。これが最後ではなく通過点だと思っている」

 笑顔で胸を張った髙橋の表情は晴れやかだった――。

 そのバンクーバー五輪の1カ月後、世界選手権(トリノ)で髙橋はさらなる進化を見せた。SPでトップに立つと、フリーでは冒頭の4回転フリップを着氷。これは惜しくも回転不足になったものの、その後はほぼノーミスで優勝を決め、日本人男子初となる世界の頂点に輝いた。

 五輪メダル、そして世界チャンピオンの座を獲得した髙橋が、このまま引退するのではないか――。世界選手権が終わってからはそんな憶測も出るようになっていた。だが、髙橋は現役を続けた。ケガの後に手に入れた"新しい体"で再び世界に挑戦する新たな道を歩み始めたのだ。

つづく

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る