全日本で一気に世代交代!?日本の女子フィギュアに希望 (4ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao

「今年はシニアに上がる気持ちはなかった中で、何とかシニアっぽくなったかなというのが実感です。ロシア杯もファイナルも。補欠で出場しながら何とか頑張れたと思っています。課題がまだたくさんあるので、今後しっかり克服できるようにやっていきたい。彼女は本気スイッチを持っているが、普段の練習は手抜きをしますので、今後はそうならないように常にスイッチが入っている状態に持っていきたい」
 
 代表選考会を兼ねた全日本選手権という独特の雰囲気を初めて体験した樋口。「超新星」と呼んでも過言ではない彼女は、極度の緊張に襲われてしまったという。フリー冒頭に跳ぶ予定だった連続ジャンプでは、得意の3回転ルッツでパンク。並の13歳ならバタバタと崩れるところだが、動じることなく演技をまとめて見せた。最後の3回転ルッツに、冒頭で跳べなかった3回転トーループをつけて連続ジャンプにするというシニア顔負けのことをやってのけるあたりは、すでに大物の体をなしている。

 しかし演技後は、緊張がほどけて脱力状態に陥り、両足に力が入らず、一人で歩けないほどだった。報道陣の前に両脇を抱えられて現れた樋口は、息が荒く、椅子に座ったままで受け答えをした。

「今の自分の力を全部出し切る目標を達成できなかったので悔しい。全日本は大きな大会で出てみたい試合だったので楽しかったんですけど、完璧な演技ができなかったのが残念です。今日のフリーは、ミスをしないように考えて緊張し過ぎてしまった。こんなに緊張したのは初めての経験です。緊張し過ぎて足がすくんでいます。(ジュニアデビューの今季は)いろんな試合に出てすごく良い経験ができて、すごく成長できた1年だと思います」

 樋口を5歳から指導する岡島功治コーチは、負けず嫌いで気が強いと評する教え子の今季の活躍ぶりに目を細めている。

「今日のフリーはたぶん緊張から足に乳酸がたまってしまい、後半は全然足が動かなかったと思います。あんなに緊張した姿は見たことがない。その中でとても頑張ったと思いますし、結果にはびっくりです。今年一番の目標は全日本ジュニアタイトルだった。それがジュニアGPファイナルにも出られて、この全日本と続いたので、疲れが出たかもしれない。今回はSPもフリーも内容と結果に満足しています」

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