全日本3連覇。羽生結弦が見つめ直したスケーターとしての原点 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 この結果、2位にはSP、フリーでレベルの高い演技を見せた17歳の宇野昌磨、3位にはSPで出遅れるもフリーはほぼパーフェクトだった小塚崇彦が入り、羽生は2位に35・64点の大差をつけて全日本3連覇を達成。2014年最後の戦いを終えた。

優勝は羽生。2位は初出場の宇野。3位は11回目の全日本出場となる小塚だった優勝は羽生。2位は初出場の宇野。3位は11回目の全日本出場となる小塚だった「とりあえずこの大会が1年の締めくくりなのでホッとしています。悔しい部分はあったし、最初のスピンでは(リンクの)穴につっかかってしまうという不運もあったけど、ミスを最小限に抑えられたのはよかったと思います」

 こう話す羽生は、「今日は疲れが溜まっているという感じが強かった」とも言う。

 この日は、陸上のウォーミングアップ時は身体がよく動き、羽生は「今日は調子がいいのかな」と感じたという。それが、6分間練習で急に体が重くなり、疲労が溜まっていることを実感させられた。

「ここは全日本という独特な舞台なので、今できることをやろうと意識しました。疲れているなかで、スピードを落としてでも、とりあえず最後までやり切ったのはよかったと思います。特に後半のトリプルアクセルは2本とも意識してやり切れた(成功した)のでよかったです」

 2014-2015シーズンの羽生は、出だしから厳しい状況に追い込まれていた。シーズン開幕前には腰痛の影響で10月のフィンランディア杯をキャンセル。その後、追い込んだ練習をできない状態で11月上旬のグランプリシリーズ中国大会に臨み、SPでは細かなミスがあってやや不安な部分が顔をのぞかせていた。そして、追い打ちをかけるように、フリーの6分間練習でエン・カン(中国)と激突して負傷するというアクシデントに見舞われたのだ。

 その試合はなんとか乗り切ったが(結果は総合2位)、ケガの影響でほとんど練習ができないまま出場した11月下旬のNHK杯では、コンディションはまったく上がってこない状態。総合4位となってギリギリでグランプリファイナル出場権を獲得した。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る