【フィギュア】日本女子の黄金時代は終わったのか (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 試合本番でほとんどミスをしない選手としてこれまでは通っていたが、緊張してしまい、思わぬジャンプの失敗を重ねた。SPでもフリーでもプログラム冒頭で跳ぶ得意の3回転ルッツが回転不足で得点を出せず、SPが60.69点の4位でフリーは118.33点の2位で合計179.02点に留まった。

「今日は緊張からジャンプをしっかりと降りなきゃいけないと考えすぎてしまった。もっと滑りのスピードがあったら良かったと思います。GP大会では2戦ともスピードを出せず、ジャンプの回転不足があったのが響いてしまいました。自分の演技をきっちりできていたらファイナルに行けたと思いますが......」

 試合後は反省ばかりが口をついた。今大会の宮原は、SPでもフリーでも終始、表情がこわばっていたのが印象に残った。

 SPで3位につけて逆転優勝を狙った村上は「絶対にファイナルに行きたい」と意欲を見せていたが、フリーでまさかの108.71点。得点を伸ばせずに7位に沈み、合計173.09点で表彰台も逃すことになった。得点が出た瞬間は、がっくりとうなだれ、手で顔を覆った。

「あー、終わったな」

 今季はSPもフリーも「オペラ座の怪人」というユニークな選曲にチャレンジするが、プログラムは試行錯誤を繰り返している。初戦の中国杯であまり評価が高くなったこともあってか、2つのプログラム構成を大幅に変更してNHK杯に臨んだ。まだ滑り込んでいないこともあったが、SPはまずまずの演技で評価も出た。しかし、4分間のフリーは完成度の低さを露呈させた格好となった。

 演技半ばに跳ぶはずの単発の3回転ループが2回転になったにもかかわらず、その後に予定通り3回転サルコー+2回転ループ+2回転ループを跳んでしまった。今季のルール改正により、同じ種類の2回転ジャンプは2回までしか跳んではならないことになっている。結果的に跳びすぎ違反となり、得点源となるはずのジャンプの得点が0点になってしまったというわけだ。

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