【フィギュア】浅田真央不在の今季。変貌する女子勢力図 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 ただしソトニコワも安穏としていられない。同じロシアの若手が次々と世界の舞台に出現しており、その座を奪いかねないからだ。ソトニコワがもっともライバルとして意識しているのは、ソチ五輪団体に出場して金メダルに貢献したユリア・リプニツカヤだろう。昨シーズン、赤いコスチュームを着たフリープログラム「シンドラーのリスト」で印象的な演技を披露して世界のフィギュアファンを魅了した逸材はまだ16歳だ。

 新しいフリープログラムは「ロミオ&ジュリエット」というフィギュア界の定番ナンバー。今シーズンの飛躍がさらに期待されるだけに、ユリア版ジュリエットでどんなプログラムを見せてくれるのか興味は尽きない。

 この2人に対抗してくるのは、優美で可憐な19歳のグレイシー・ゴールド(米国)と、ジャパンオープンでも優勝したラジオノワになりそうだ。

 ソチ五輪女子シングル4位と健闘したゴールドは、クセのない基本に忠実で美しいジャンプとスピンが特長。これまでなかなかタイトルに縁がなかったが、試合でしっかりと実力が出せるようになれば、女王の座を奪う実力の持ち主と言える。

 世界ジュニア選手権で2連覇している15歳のラジオノワは細身の身体ながら力強い演技ができる骨太な選手で、すでにシニアでも年上スケーターに遠慮せずに結果を残している。昨シーズンはネーベルホルン杯優勝をはじめ、グランプリ(GP)大会のスケートアメリカ3位、NHK杯2位と好成績を挙げ、GPファイナルでは4位だった。1つ年齢を重ねた今シーズン、どう変貌を遂げているのか楽しみだ。

 ロシアとアメリカが優勢な今シーズンだが、それに対してアジア勢がどう食い込んでいくのかにも注目が集まる。中国の新鋭17歳の李子君、そして「ポスト浅田」と期待される19歳の村上佳菜子、16歳の宮原知子、18歳の本郷理華ら日本勢が、どこまでGPシリーズのタイトル争いに顔を出せるかだ。

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