【フィギュア】「完璧を目指す」浅田真央。世界選手権の見どころ (2ページ目)

  • 辛仁夏●文text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影photo by Noto Sunao/JMPA

 24日から始まった公式練習での調子は上々だった。代名詞のトリプルアクセル(3A)も成功させ、連続3回転の高難度ジャンプも軽々と跳ぶなど、滑りにもスピードがあってキレのいい動きを見せていた。25日の公式練習ではショートプログラム(SP)「ノクターン」の曲に乗ってプログラムを最後まで通し、予定の3つのジャンプをすべて成功させ、流れのある演技を披露した。

 浅田は練習後の会見で「目指しているレベルで挑戦できる最後の試合になる。ソチ五輪で出来なかったSPとフリーの両方を完璧にそろえることが目標です」と、やる気は十分だ。ソチからの帰国後は「試合の疲れもあって体力的にきつかった」と一週間ほど休み、心身の充実を図ってから今大会に向けて練習を再開したという。佐藤信夫コーチも「練習は一応、順調です。五輪後はしっかり休むように言っておいたので、一週間、彼女の顔を見ませんでした。コンディションは問題ないし、気持ちも大丈夫。練習でも気が抜けたり、やる気がなかったりなどということはなかった」と太鼓判を押す。

 ソチ五輪ではSPでまさかの16位に沈み、フリーでは世界中のスケートファンに感激の涙を流させた「最高レベルの演技」を見せた。その浅田は、天国と地獄を味わった五輪を振り返りながら、こう語る。

「オリンピックではすごく悔しくて取り返しのつかないSPをしてしまったので、この世界選手権は自分にとってすごく重要な試合ですし、いままでの経験を生かして追い込んでいけたらいいと思います。SPとは逆に、オリンピックのフリーは久しぶりにやり切ったという演技ができたので、あの時のような思いを、この世界選手権のSPとフリーでできたらいいです」

 この世界選手権でも、フリーでは6種類の3回転を計8度跳ぶことに挑戦する。高みを目指す飽くなきチャレンジャーであり続けることが、浅田の原動力になっている。ジャンプの失敗がないノーミスの演技さえ出来れば、世界女王奪還は間違いないはずだ。

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