女子フィギュア総括。ハイレベルな戦いの流れを作ったのは浅田真央 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Enomoto Asami/JMPA

 そんな神経戦ともいえる状況でまず敗れたのは、最終組最初の滑走者だったリプニツカヤだった。序盤の連続ジャンプは確実にこなし、メダル争いにも絡んできそうな演技を見せた。だが中盤の3回転ループが回転不足で両足着地になり、次の3回転サルコウでは転倒。続く3回転ルッツからの連続ジャンプではロングエッジになりGOEでも減点されてしまった。

 とはいえ、演技構成点は浅田より高い70.06とまずまずの高得点。得点が出やすい最終組という利点を生かし、合計では浅田を抜いて200.57点とした。

 だが、ミスが続出に傾きそうな流れを止めたのは、次のコストナーだった。SPでも彼女らしいダイナミックな演技で3位につけていた彼女。フリーの曲は、ゆっくりとしたテンポで始まる、昨シーズンと同じ『ボレロ』だった。氷を蹴ることなく、スケートのエッジングで徐々にスピードを上げていくテクニカルな滑り。以前はジャンプでのミスが多く波もあったが、ここにきてジャンプの確率もしっかり上げて完成度を高くしてきていた。

 昨年の世界選手権でも同じ『ボレロ』で圧巻の舞いをして2位になったが、最後の3回転サルコウで転倒していた。今季は連続3回転ジャンプは入れない構成ながら、3回転サルコウを中盤に持ってきてたことで、今大会フリーでは、ほぼ完璧な演技の142.61点を獲得。合計では216.73点でトップに立ったのだ。

 フリーの得点で浅田を僅かに下回ったものの、「曲の解釈」であるインタープレテーションで9人中4人の審判が満点の10点を出すほどの出来だった。

 だがそのコストナーを上回ったのが、最後から2番目のソトニコワだった。3回転ルッツ+3回転トーループなどのジャンプを確実に決め、ミスらしいミスといえば3連続ジャンプの最後のジャンプが回転不足で乱れたくらい。地元開催のプレッシャーに負けない滑りをして、149.95点と予想以上の高得点を出し、合計を224.59点とした。

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