【フィギュア】もし羽生結弦が5回転ジャンプに成功したら? (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by Getty Images

 初成功から26年後のソチ五輪シーズンでは、4回転トーループが主流のジャンプ技に組み込まれて、勝負には欠かせないものになった。ようやく4回転が男子の主流ジャンプになりつつあるという段階だ。5回転など漫画の世界で描かれる夢の技にすぎない。

 その5回転について、日本スケート連盟フィギュア強化副部長の竹内洋輔氏は「5回転ジャンプについては、現在はISUに事前申告しなければ基礎点がつかないジャンプとなっている」と説明してくれた。

 そもそもISUのジャッジングシステムでは、ジャンプの得点がどのように決まるのか。現行ルールのジャンプは、1回転から4回転までの回転数があり、さらに6種類の跳び方に分かれている。回転数と種類によってジャンプの基礎点がそれぞれ設定されているジャンプの価値尺度(SOV)という得点表がある。

 それによると、男子シングルではほとんどの選手が6種類の3回転ジャンプを跳んでいるが、例えば、その中で一番難易度の高い3回転アクセル(3A)の基礎点は8.5点と設定されている。この3Aのジャンプが回転不足の場合は、不足分が4分の1回転以上2分の1回転未満なら基礎点が70パーセント(6.0点)に減点されたり、2分の1以上ならダウングレードになって2回転アクセルの基礎点(3.3点)になったりする。さらにこの基礎点からジャンプの質や高さ、距離、空中姿勢などを評価するGOE(出来栄え)で±3点の加点、減点がなされたり、体力的に厳しいプログラム後半に跳ぶジャンプでは基礎点が1.1倍(3Aなら9.35点)になったりして最終的なジャンプの得点が決定する。

 転倒した場合は、転倒したジャンプ(連続ジャンプを含む)ごとにGOEで最大3点が減点される。さらに違反にあたるとして、転倒1回につき1点、全体の点数から減点される。

 ちなみに、現在のところ最高の回転数である4回転の基礎点を難易度順に言うと、トーループが10.3点、サルコウが10.5点、ループが12.0点、フリップが12.3点、ルッツが13.6点、アクセルが15点となっており、ジャンプの得点は4回転アクセルの基礎点までしか設定されていない。

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