羽生結弦らのメダルを脅かす、強敵パトリック・チャンとふたりの伏兵 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 ただ、技術基礎点を比較すれば、得点が1・1倍になる後半にジャンプを多く持ってきている羽生がチャンを上回っている。勝つためには、そのアドバンテージをどう活かせるかだが、少しでもミスをした方が負けるという熾烈な戦いになるのは間違いないだろう。

4回転の成否がカギとなる髙橋大輔は3回目の五輪出場4回転の成否がカギとなる髙橋大輔は3回目の五輪出場 もちろん髙橋も4回転トーループをSPとフリーですべて決めれば、演技構成点の高さでふたりの間に割って入るだけの力を持っている。また、他の出場選手を見ると、羽生やチャンのように、安定して演技構成点で高得点を出している選手はいないというのが実情だ。昨季の世界選手権で2位になったデニス・テン(カザフスタン)は、SP、フリーともに完璧な演技をしての結果だったが、得点は266点台ともう一歩であり、今季はそのときほどの調子のよさを発揮できていない。

 ほかに、1枠しかないロシア代表にエフゲニー・プルシェンコが選ばれたが、地元開催の優位性はあっても、かつて2006年トリノで金メダル、2010年バンクーバーで銀メダルを獲得したときのような勢いはないと思われる。

 そんな中で、メダル争いに加わってくるとすれば、複数種類の4回転ジャンプを持っている選手になってくるだろう。その可能性を持つひとりがサルコウとトーループの4回転を持ち、フリーに4回転を3回入れるプログラムを組んでいるハビエル・フェルナンデス(スペイン)だ。さらには、SPでもサルコウとトーループの2回の4回転を入れて、フリーでも4回転を3回入れるプログラムで臨むケビン・レイノルズ(カナダ)も、メダル争いにからむ可能性のある選手ということになる。

 町田樹(たつき)も含めた日本勢や、チャンの調整具合も気になるところだが、伏兵のフェルナンデスやレイノルズの存在も見逃せない。いずれにしても、互いにミスのないハイレベルな戦いになることが、メダルの価値をより高める。そんな熱い戦いが、ソチの舞台で繰りひろげられることに期待したい。

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