チャンに勝利。羽生結弦の金メダルが見えてきた

  • 辛仁夏●取材・文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 優勝翌日の12月7日に誕生日を迎えた羽生は、18歳最後の演技で自己最高得点を出しての優勝に「18歳最後の滑りが終わってほっとしている。課題はまだいっぱいあるが、19歳になってももっといい点数が出せるように、もっといい演技ができるようにしっかり頑張っていきたい」

 目指すは初出場となるソチ五輪の金メダル。絶対王者チャンが金メダル争いの最右翼だが、今回の勝利で少なからずチャンにはプレッシャーを与えたのではないか。調子を落として万全の状態ではなかったというチャンだったが、自分の背中を追いかけ、一矢を報いる機会を虎視眈々と狙っている羽生が持つ底力に脅威を感じたはずだ。

 最終選考会の全日本選手権で五輪代表切符を手にすることがまずは一番大事なことだが、オーサーコーチも話していたように「その先のソチ五輪にちゃんと目を向けてもらい、しっかりと五輪で戦える力は残しておいて欲しい」と、今後は五輪モードに切り替える考えを示した。

 今大会でも見られたSPとフリーのプログラム終盤で露見したスタミナ切れの課題を克服して、コンディションに不安なく五輪を迎え、本番で完ぺきな演技ができれば、金メダル獲得の可能性が高まる。

 ソチ五輪まであと2カ月。19歳になった羽生の挑戦の日々は続く。

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